日本語能力試験一級読解文章

日本語能力試験1999年一級読解文章
日下公人《去向嶄新的幸福》第12章

　我曾經試過對一個有著奇怪興趣的人問了很多問題，亦因此而獲益良多。我曾對其某一單調的興趣問及「那樣的事情有趣嗎？」他答說，「無論任何事情也是一樣的，只要盡力去做就會覺得有趣。」這回答令我大為感觸。我覺得這個人非常了解何謂有趣的事情：那就是不管是興趣或是工作亦是同一道理，進而延伸至整個人生也是如出一轍的。
　那些覺得世上沒有什麼有趣事情的人，事實上不過是沒有盡全力去做，以致有趣的事也只會變成沒有價值而枯燥。無論是高爾夫球、圍棋、釣魚、網球，一切一切也是一樣的。在和一些即使笨拙但非常努力的人一起時，無論是誰也曾有覺得心情愉悅的經驗吧。假若一邊嘟嚷一邊批評地做事，那麼真正有趣的事物就會從那人手中溜走。那是因為不管是有趣的事情又或幸福都是從自己的內心發出的，而並非存在於自己以外的事物中。
（中略）
　以這樣的理據為出發點的話，對於總是掛心同伴視線的日本人來說，大概不能熱中於一件事情吧。因為過於在意周圍的評語而預先想好辯解又或鋪設逃避的後路，就這樣在不知道熱中於某些事情的幸福之中終其一生亦變得非常普遍。若光是這樣還好，但有時若看到其他人熱中於某些事物時卻會要求別人也和自己一樣，又或去找那些事情的缺點。而那些被視為缺點的，第一總是忽略了與他人的交際活動，而第二就是沒有好好地做工作。
　在這種風氣下生活的話，人就會不知彼此地扮演著：
（１）弱者
（２）被害者
（３）笨手笨腳的人
　這就是在日本人社會中生活時不能忘記的三大利器，與人溝通時總會每三分種非說一次「我做不來的」、「總是被說什麼就做什麼」、「做什麼都只會失敗的我沒有那份閒情」不可。
　在被恭祝升遷時，也總會答說「因為是三流公司，所以即使升為經理也和一般小社員一樣啊」、又或「突然被提拔為委員，實在感到不知所措」。這已經成為禮儀的其中一種，也因被很多人反覆使用、打磨而堪稱得上是藝術作品。
　這樣的說話的確對人際關係有著潤滑的作用，即使是美國人也會偶爾使用。但是日本人要學懂這絕非是真心話。很多日本人在重複扮演著這些角色時，會誤以為那就是真正的自己。

～原文～
　

　変わった趣味をいくつも持っている人に合ったので、いろいろ質問して教えられたことがある。ある単調な趣味について、そんなことが面白いですか、と聞くと「何でもそうだが、一生懸命やれば面白い」と言う答えだったので感心した。この人は趣味についてよくわかっている人だと思ったのだが、それは、趣味のみならず仕事でも同じであり、結局、人生全体についても同じなのだろうと思う。
　何か面白い趣味はないかという人がいるが、一生懸命やらないのなら趣味はみんなくだらなくてつまらないのに違いない。ゴルフもでも、碁でも、釣りでも、テニスでも、何でもそうだが、下手でも一生懸命やる人と一緒になった時は、気持ちがよいのはだれしも経験があるところがある。ボヤイたり、批評したりしながらやるのでは、本当の面白さはその人から逃げていってしまう。面白さや幸福は自分の内部から湧いてくるものであって、外部に存在するものではないからである。
（中略）
　そういう点から言うと、仲間の目をいつも意識している日本人は、なかなか一つのことに熱中できない。周囲から何か言われるのが恐いので、それへの言い訳を考えたり、逃げ道をあらかじめ作ったりするので、熱中する幸福が知らないまま一生を終わってしまうのが普通になっている。それだけならまだよいが、時には他人にも同じことを要求して何かに熱中している人がいると、いろいろそのアラ探しをする。アラとして出る理由は、仲間への交際が粗略になっていると言うのがいつも第一で、仕事をしていないのではないかと言うのが第二である。
　そういう空気の中で生活すると、人は誰でも知らず知らずのうちに、
（１）弱者演出
（２）被害者演出
（３）不器用演出
をいつも心かけるようになる。日本人社会で暮らすのに忘れてはならない三種の神器はこれで、人と話をする時は「私なんかダメですよ」とか、「いつもいいようにやられてばっかり」とか、「失敗ばかりでそんな余裕はありません」とか必ず三分間に一回ぐらいが言わないとうまくいかない。
　栄進のお祝いを言われた時でも「三流会社ですから部長になったといっても実態はヒラと同じですよ」とか、「ムリヤリ引っぱり出されて委員になっただけで、五里霧中です」とかの返事をしないといけないことになっている。これはもう礼儀の一種であり、たくさんの人が反復使用するので磨きぬかれて、ほとんど芸術作品になったような言い回し方もある。
　これは、対人関係円滑化の技術としては確かに有効だし、アメリカ人でもときどきはそういう会話をする。しかし決してホンキでそう思っているのではないところは、日本人として学ばねばならない。多くの日本人は演出を重ねているうちに、それが本当の自分になってしまっている。
（日下公人「新しい”幸福“への12章」による）